理学療法 / 理学療法士とは
理学療法とは
島根県理学療法士会より県民のみなさまに「理学療法」をご紹介いたします
県民のみなさんは「理学療法(Physical Therapy)」をご存知でしょうか?
近頃はいろんな場所、場面でこの言葉を耳にすることも増えたかもしれません。
しかしながら、そもそも「理学療法」って何?と聞かれても、うまく説明できないものではありませんか?
「リハビリっていくつか種類があって、そのうちの一つが理学療法なんでしょ?」
その通りです。ですが、具体的に何をどんなふうに行うのかということはわかりませんよね。
「リハビリと理学療法は同じなの?違うの?」、「理学療法と作業療法ではやることが全然違うものなの?」など、よくわからないですよね。
わたしたち島根県理学療法士会は、広く県民のみなさんに「理学療法」を知っていただきたいと考えています。ここでは、「理学療法」とは何かという疑問にお答えするとともに、理学療法を用いてみなさんの生活を支援する医療専門職の「理学療法士(Physical Therapist)」についても知っていただければと思います。
まず、「リハビリと理学療法は同じなの?違うの?」という疑問にお答えするために「リハビリ」についてお話しいたします。よく耳にする言葉「リハビリ」ですが、正式には「リハビリテーション」と言います。この「リハビリテーション」とはどういう意味なのでしょうか?
リハビリテーション(Rehabilitation)は、本来の意味として、「人が人としてふさわしくない状態になった時、それを再びふさわしい状態に戻すこと」を指し、「権利、資格、身分の回復」を図るという意味で使われてきました。現在、わたしたちが用いる、いわゆる医学的なリハビリテーションの意味、つまりは心身に障害を持った方々に対する治療訓練や社会復帰を目指すことは、1910年代の大きな戦争の後、世界中で広く用いられるようになりました。戦傷者の身体機能回復、社会復帰支援を図ることがリハビリテーションの意義や意味として捉えられるようになりました。こういった歴史を辿りながら、リハビリテーションは「人間らしく生きる権利の回復:全人的復権」を意味するものとなりました。この「人間らしく生きる権利の回復:全人的復権」というものは医学に限定されるものではありません。社会的、職業的、教育的など様々な領域、場面でも用いられています。
医療の場面での「リハビリテーション」は、先天的に障害のある方々や、病気や怪我により障害を負ってしまわれた方々に対し、身体機能や動作能力の回復を図り、社会復帰を目指していくものです。これらを成し遂げていくために様々な職種が役割を果たしています。理学療法士はこの役割を果たす職種のうちの一つです。
「理学療法と作業療法ではやることが全然違うものなの?」という疑問もあろうかと思います。理学療法は主に身体機能、運動機能の回復や、基本的な動作能力(起きる、座る、立つ、歩く)の回復を図ることが役割です。対して、作業療法では、生活場面での様々な動作能力の回復や、社会復帰(職場や学業など様々です)を目指すために必要な能力の獲得を図っていく役割を持っています。その他、言語聴覚士(言葉や食事の際の飲み込みの動作、聞こえの障害に対してのアプローチなど)、視能訓練士(視覚的な機能回復の支援を行う)、義肢装具士(義足や義手、装具というものを作成し、生活の支援を行う)などの資格もあります。
さて。「理学療法」についてもう少し詳しくご説明します。
理学療法とは病気、けが、高齢、障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動、温熱、電気、水、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
「理学療法士及び作業療法士法」第2条には「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。
わたしたち理学療法士はこれら定義に則り、病院や施設、様々な場所、場面で多くの方々に理学療法を提供しています。わたしたちは医療専門職としての役割を果たすべく、現場での業務を行うことはもちろんですが、業務を行う上での学びを深めることを続け、さらにそれらを発展させるために研究活動も行っています。また、後進の育成のための教育活動も積極的に行なっています。
わたしたち理学療法士をはじめ医療に従事する者には、古くはヒポクラテスの誓いや、ヘルシンキ宣言などでも謳われた「病む人を救う、助ける」という責務があります。「救う、助ける」ことは単に病気を治すことだけではなく、生活を支援したり、生きがいとなる趣味のお手伝いをしたりなど、多岐に渡ります。理学療法が目指すことは「治す」ことに加えて、「支える」医療を展開することでもあります。
わたしたち理学療法士は、県民のみなさんが病気になられたときの支援はもちろん、健康の維持、病気の予防を行うためにもその役割を果たしています。
わたしたち島根県理学療法士会は、県民のみなさんの夢や価値観、自分らしい人生、愛する人、健康な身体・・・ そんなみなさんの「大切」が彩り豊かなものであり続けられるように、寄り添い支援して参ります。