新生涯学習制度について

日本理学療法士協会(以下、協会)は、理学療法士の資質の向上、専門分野における職能的水準の引き上げ、自発的な学習の継続を促すため、生涯学習制度を運用しています。

2022年度より、多様化するニーズに応えうる理学療法士を育成していくため生涯学習制度がリニューアルされました。今まで以上に、国民に対して理学療法士という専門職の質を保証するために、「5年ごとの更新制」を取り入れることで、生涯にわたり知識・技術の維持・向上が可能となる制度設計となっています。

ここでは主に、新しい生涯学習制度の概要について解説していきます。

1. 生涯学習部長からのメッセージ

生涯学習部長 藤丘政明 (島根県立中央病院)

14年前、私が理学療法士として働きだした頃は、旧制度の新人教育プログラムであり、同期5人と一緒に毎年研修会に参加し、学会発表(当時は必須)まで経験しました。

学会発表の準備は大変でしたが、先輩達が遅くまで指導してくださり、とてもかけがえのない経験となりました。

7年目の時に認定理学療法士(運動器)資格を取得しましたが、運動器分野の理学療法について、各分野のトップランナーの先生方から評価や介入のポイントについて教えていただきとても勉強になりました。

認定理学療法士資格を取得してからは、いろいろな「ご縁」をいただき、県学会で講師をしたり、査読をしたり、座長をしたりと幅広く活動する機会を得ることができ、成長できました。

私は、他にも様々な団体主催の研修会に参加してきましたが、協会の生涯学習制度を通じて学んできたことが、理学療法士として働いていく上での基本となる「型」になっていると思います。

 現制度では、症例発表は必須ではなくなりましたが、講義テーマの内容はさらに充実したように思います。

皆さんも、ぜひこの生涯学習制度を活用して、理学療法士として「型」を作り、専門知識・技能を高め、島根県の皆様の健康な生活に貢献していきましょう!

2. 新生涯学習制度の3つのポイント

1.本会へ入会した理学療法士は、まず「前期研修」を履修します。その次に「後期研修」を履修することで「登録理学療法士」となります。

2.「登録理学療法士」となった本会会員は、5年ごとの更新を目安に自己研鑽を続けます。

3.登録理学療法士を基盤とし、より高い専門性を兼ね備える「認定理学療法士」、「専門理学療法士」制度を構築します。

 

新生涯学習制度のイメージ図

協会HPより引用 https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/

3-1.前期研修とは?

 新入会員は、まず「前期研修」を履修します。

前期研修では、「必要に応じて指導を求め、基礎的(ベーシック)理学療法を実践できるレベル」を到達目標とし、最短履修期間2年で、座学(33時間)と実地研修(48時間)を行います。

カリキュラムは初期研修、理学療法の基礎、理学療法の専門性、実地研修の4講座に分かれており、いずれも無料で受講することができます。

実地研修以外はe-ラーニングでの受講も可能となっており、ご自身の都合の良い時間で学ぶことが出来ます。

 

前期研修カリキュラムの詳細は協会HPをご参照ください。

 https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/2272ba3491321b06c9aacc1a472f915a.pdf

3-2.前期研修(実地研修)

 新生涯学習制度では、施設における新人職員に対するOJTを主体とした質の高い研修を普及させる目的で、実地研修が導入します。

実地研修は、所属施設の状況(登録理学療法士の在籍有無)によって受講方法が異なります。

ご自身がどの受講方法になるかは、協会マイページをご参照ください。

 

詳細は協会HPをご参照ください。

 https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/new/zenki_d/

4.後期研修とは?

前期研修修了後、後期研修が受講可能となります。

後期研修では、「多様な領域で標準的(スタンダード)理学療法を臨床実践でき、学生や後輩を指導できるレベル」を到達目標とし、最短履修期間3年で、座学(76.5時間:51コマ)と実地経験(3年)を修了することで登録理学療法士を取得できます。

カリキュラムは、小推論、臨床疫学(演習)。領域別研修(座学)、関連領域、領域別研修(事例)・(育成)、最近の知見の6講座に分かれており、1コマ300円程度で受講が可能です。

また、領域別研修(事例)以外は、e-ラーニングでの受講も可能となっており、ご自身の都合の良い時間で学ぶことが出来ます。

 

後期研修の詳細は協会HPをご参照ください。

 https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/341e0bc9cd03c13b952d35414178a652.pdf

5.登録理学療法士とは?

・新生涯学習制度では、卒後5年間を義務教育的な位置づけとし、前期研修・後期研修の受講を通して、多様な障害像に対応できる能力を有する「ジェネラリスト」の育成を行います。

修了者を「登録理学療法士」とし、さらにそれを5年ごとに更新する生涯学習を明確化します。

これにより、生涯にわたる知識・技術の維持と更新を促進し、社会に対する理学療法士の質の担保の証とします。

 

https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/ee3062c6101d670853a4c8eb57687871_1.pdf

 

登録理学療法士取得までの履修イメージ

登録理学療法士取得までの履修イメージ登録理学療法士の更新要件の概要は、協会HPをご参照ください。

https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/c961f315be60aff4a6e565c3b5a03f60_1.pdf

6.認定・専門理学療法士とは?

•「登録理学療法士」を基盤とし、自らの専門性をさらに高めたい理学療法士への動機づけとなる「認定理学療法士」・「専門理学療法士」の制度が構築されています。

•認定・専門理学療法士制度は、より専門性の高い臨床技能を有する「スペシャリスト」、いわば個性の育成プログラムです。

 

制度の概要については、以下のリンクをご参照ください。

 https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/93b4567c8cff764d490d0e0c6e921427.pdf

 

▽島根県内の認定・専門理学療法士

専門理学療法士1名、認定理学療法士78名が活躍しています(実人数、2021年5月17日時点)。

 

認定理学療法士からのメッセージ

黒崎智之  松江市立病院

私は、脳卒中分野に興味があり、また脳卒中と関連し、リスク管理にも重要となる循環器分野の知識も深めたいと思い、脳卒中と循環領域の両分野での認定理学療法士の資格を取得しようと思いました。

認定理学療法士以外にも専門資格を保有していますが、それらの試験を受ける度に、試験を受けることは知識を深める近道となり、日頃ついつい蔑ろにしがちな知識(そのような知識程、実は重要だったりしますが)は、試験を受けるでもしなければ定着しないということを感じています。また、自分の知識を更新することも疎かになりがちですが、資格更新のためのステップがその良い機会となっています。

認定理学療法士の取得は、知識を深め、更新することに役立ちます。また、「自分は認定された理学療法士である」という自負が、更に見識を深めさせてくれます。是非皆さんも認定理学療法士の取得に向けてがんばって下さい。

 


 

認定理学療法士からのメッセージ

認定理学療法士の取得は少しだけ大変ですが、その分野のより専門的な知識が得られる、自信が付く事で仕事のモチベーションが上がる、認定理学療法士の間での交流が持てるなどの多くのメリットがあります!

私は大学病院で勤務しているため、重複障害を持つ患者さんの診療に貢献したいと思い複数領域での認定を取得しました。

得られた知識は臨床で非常に役立っており、資格を取得して良かったと感じています。

 

 

 

7.Q&A 「士会『承認』症例検討会」について

Q:「士会『承認』症例検討会」とはなんですか?

A:

会員施設内での開催要件を満たした症例検討会を指し、開催者である座長(登録理学療法士)が都道府県理学療法士会に事前に開催申請し承認されることで、後期研修カリキュラム E 領域別研修(事例)の単位取得が可能となるものです。

Q:「士会『承認』症例検討会」の開催要件とはどのようなものがありますか?

A:

以下の早見表を確認しすべての項目にチェックが入ることに留意して下さい。

  *オンライン開催に関する要件は、該当の場合にのみ適用となります。

 

申請基準早見表 

上記の要件を満たしているかどうかをテスト形式でチェックできるシートをGoogleフォームで作成していますのでご活用ください。

*士会「承認」症例検討会 申請時の要件チェックシート:https://forms.gle/pg9Dn4cHGc2aHAGy8 

 

Q:「士会『承認』症例検討会」の申請はどのような手順で行ったらよいですか?

A:

座長の日本理学療法士協会マイページ内の「生涯学習管理」→「登録理学療法士」→「症例検討会開催申請」を開き、セミナー概要や開催日時、会場、開催テーマを入力することで、申請が可能です。

申請後、士会担当者が申請内容を確認し、承認・否認の手続きを行いますので、「症例検討会申請状況確認」から申請状況をご確認ください。

また、島根県理学療法士会独自の要件として、事前申請の〆切を、研修会開催の1週間前としています。

〆切を過ぎての申請については、開催要件を満たしていても「否認」としますのでご注意ください。

【申請の流れ】

申請の流れ

 

Q:自分が後期研修の受講対象者かどうかはどこで分かりますか?

A:

日本理学療法士協会マイページ内の「生涯学習管理」→「履修状況確認」からご確認ください。

 

【参考資料】

「士会『承認』症例検討会実施マニュアル(開催者[座長]用)」

https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/0537ce80125b4662946aced3987e893c.pdf

Q1

8.Q&A 「士会が承認した会員所属施設主催研修会」について

Q:「士会が承認した会員所属施設主催研修会」とはなんですか?

 

A:
会員所属施設内での開催要件を満たした研修会を指し、申請者(登録理学療法士)が都道府県理学療法士会に事前に開催申請し承認されることで、登録理学療法士の更新ポイント取得が可能となるものです。

 

Q:「士会が承認した会員所属施設主催研修会」の開催要件とはどのようなものがありますか?

A:

以下の早見表を確認しすべての項目にチェックが入ることに留意して下さい。

  *オンライン開催に関する要件は、該当の場合にのみ適用となります。

申請基準早見表2

上記の要件を満たしているかどうかをテスト形式でチェックできるシートをGoogleフォームで作成していますのでご活用ください。

*士会が承認した会員所属施設主催研修会 申請時の要件チェックシート

   https://forms.gle/GY5KS6x1GbFc4fsP6 

 

Q:「士会が承認した会員所属施設主催研修会」の申請はどのような手順で行ったらよいですか?

A:

申請者の日本理学療法士協会マイページ内の「生涯学習管理」→「登録理学療法士」→「セミナー開催申請」を開き、セミナー概要や開催日時、会場、カリキュラムコードを入力することで、申請が可能です。

申請後、士会担当者が申請内容を確認し、承認・否認の手続きを行いますので、「セミナー申請状況確認」から申請状況をご確認ください。

また、島根県理学療法士会独自の要件として、事前申請の〆切を、研修会開催の1週間前としています。

〆切を過ぎての申請については、開催要件を満たしていても「否認」としますのでご注意ください。

申請2

 

Q:カリキュラムコードとは何ですか?

A:

カリキュラムコードは理学療法士養成教育との連動性とジェネラリストとして学習する領域を表し、各研修会等のテーマに沿って設定されます。申請者は170 あるコードの中から研修会のテーマにあったものを選択し、設定します。詳細は別紙のカリキュラムコード一覧をご確認ください。 

 また、各カリキュラムコードで最初に取得したポイントのみが認定されますので、2回目以降に同一カリキュラムコードで異なるポイント数を取得しても、ポイント数を加算、高いポイント数への上書きはできませんのでご注意ください。(取得済みのカリキュラムコードが設定された研修会でも受講自体は可能です。) 

 

Q:自分が登録理学療法士であるかどうかはどこで分かりますか?

A:

日本理学療法士協会マイページ内の「生涯学習管理」→「履修状況確認」からご確認ください。

【参考資料】

「研修会等の受講 会員所属施設主催実施マニュアル(申請者[登録理学療法士]用)」

https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/d80aeeb5ccfea779afc17099a1d6b8f1.pdf

Q2-1

 

カリキュラムコード一覧

https://www.japanpt.or.jp/pt/lifelonglearning/asset/pdf/1370809a4844e47732e02bf430ab4254.pdf

Q2-2

問い合わせ先

下記のフォームより、必要事項をご記載の上、お問い合わせください。

島根県理学療法士会 生涯教育部長の相談室:https://forms.gle/Qyjg5Sb52dVdLwse8

問い合わせ

担当:生涯教育部長 藤丘 政明(島根県立中央病院)